
2022年11月末から、合同会社 長目(ちょうもく)は浜松市でデータ分析周辺のセミナー(現在、絶賛無料開催中)を開催しはじめました。開催理由は「浜松市のオープンデータ利活用促進プロジェクト(第4期)」で「浜松市実証実験サポート事業」にご採用いただいたからです。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/desupport/project/index.html
そう答えると、次に「利活用促進なのにどうしてデータ分析のセミナーなのか?」という疑問も浮かぶようです。「データ分析・活用ができていない中小企業にその方法をセミナーでお伝えしたあと、オープンデータを利用していただきその需要をくみ取る」というのが弊社のセミナーを行っている理由です。
今回の記事では、もう少しその辺りを掘り下げます。
募集にあった課題
昨年、浜松市実証実験サポート事業への応募に際して、サイトの募集要項を眺めていました(サイト)。すぐに「(3)浜松市で保有するオープンデータの利活用」という課題に目が行きました。詳細は次のような感じでした。
事業でのオープンデータ活用のニーズをくみ取り、活用を促すという内容です。ターゲットはスタートアップや中小企業とのことでした。
以前の私のトーク
事業でどんどんオープンデータを使いましょうというのは、2020年にPyCon mini Hiroshima(広島)や2021年のPycon mini Shizuoka(静岡)で話させていただいた内容です。
中小企業のDXはオープンデータとPythonで!
広島の「中小企業のDXはオープンデータとPythonで!」という発表では、「中小企業にはデータの蓄積がない。そのためデータ分析を業務に活かすのが難しいように見える。しかし、オープンデータを使うことにより事業環境(マーケティング含む)の分析は行える。オープンデータを分析しながら、データを蓄積し、データを活用していく組織を目指すことができる。」ということを伝えました(この時は家計調査のデータを使った)。
KKD(勘・経験・度胸)に位置データを加えよう!
静岡の「KKD(勘・経験・度胸)に位置データを加えよう!」という発表では、国勢調査のデータの数値と位置データを使って、「子供用保健を売るという想定で、子どもが多い地域を探し、その地図を作成する」というデータを作成する工程を実践しました。
中小企業とデータ
というわけで、オープンデータはビジネスでかなり役立ちます。金融機関では当たり前のように、経済統計をいろいろな形で分析しています。一般企業で使われてるのか?というと、いろいろな場所で使われていると思います。特に大手企業は活用されていると考えられます。
年末に読んだ楽天に関する本「突き抜けろ 三木谷浩史と楽天、25年の軌跡」では、楽天の英語化は三木谷さんが、世界各国のGDPシェアの予測値で日本のシェアが大きく下がる(2008年の日本のシェアが8%だったのに2050年には3%に落ち込む)とのレポートを読み「世界市場を相手にビジネスができれば、日本が再び繫栄する」と考え、楽天を”真の世界企業”にすると目標を作ったことから行われたようです。
ウェブを探すと多くの経済指標などのレポートも存在します。
一方で、日本に多い中小企業ではオープンデータは使われていません。多分、大体の企業が日々の業務に追われている上、データを使ってビジネスを分析するような作業が行われていないからです。
上記のプレゼン実施後に、ちょっと企業の方と触れあった感想ですが、データを使おうにもデータはないところが結構多い、というかデータ分析とかしてない会社も多いということでした。
大企業でも外部環境のデータはあまり使われていない
次に総務省が2020年に出している「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」に掲載されていた、「分析に活用しているデータ(企業規模別)」の表を見てみます。観察すると、企業内部で集められるデータは活用が進んでいますが、企業外のデータ、たとえば天気データですら活用している企業が少ないことが分かります。
そして、やはり中小企業のデータ分析は大企業ほど行われていないことも分かります。
ドラマなどで、会社にとって需要な部品や原材料の値上がりを業者から聞いて知るみたいな場面があって、そんなことありますかいなと思ったりすることが多いですが、このデータを見ると案外本当なのかもなぁなんて思ったりします。
中小企業でデータが活用されていない理由と今後必要な理由
中小企業でのデータ利用が少ない理由は?と考えると、1つの仮説が思い浮かびます。
「日本国内だけをビジネス領域とすると、ここ2,30年は変化が小さかった。お金を持っている顧客層も大きく変わらなかった。それゆえ、そこにコストをかけることは優れた解決策ではなかった。」と言えるかもしれません。
一方で、日本はこれから大きく変わり始めます。人口減少です。
環境変化、人口減少
楽天の話にもあったように、これから日本は人口減少局面に入る可能性が濃厚です。次の図は2017年の国立社会保障・人口問題研究所による日本の総人口の推計です。人口は2010年あたりをピークに減少に転じます。
また、人口ピラミッド(統計Dashboardより)団塊世代あたりの人口が今後減少します。
そして、次の図はデータで見る事業継承の「経営者年齢のピークは60~70代」ですが、経営層の年齢も上がっているようです。企業の顧客は案外、経営者の年齢に近かったりする場合が多く、代替わり+新たな顧客の獲得を目指す必要も考えないといけません。この辺りがデジタル対応が求められるところだったりします(旧来の顧客はデジタルツールを使いこなさなかったが、新たな顧客はデジタルツールから流入する可能性)。
デジタル化 / データ活用が必要
既存の中小企業には、このような大きな変化が待ち構えています。
経営層も顧客も変化します。特に、顧客の変化は重要で、それに対応するためデジタル化・施策のデータを使った計測が欠かせなくなるでしょう。またその前に、顧客の理解を上げるためにデータを活用する必要があると考えます。
その辺りのデータ分析・活用など、出来ていないところをセミナーで提供しつつ、実行に移した段階でそれに必要なデータニーズをくみ取る、そのためにセミナーを展開しているというのが、弊社の現在の行動の根本にあります。
まとめ
以上が弊社のセミナー開催からオープンデータの利活用を目指す計画です。
現状はセミナー内容の調整などを行いながら、開催しています。現状は無料で浜松市でセミナーを開催しておりますので、データ活用に関心をお持ちの経営者から、データ分析してキャリアアップを目指すセールスパーソンまで、幅広い方々にイベントに参加していただければと思います。
もしご関心をお持ちいただけましたら、1月21日土曜日に、浜松市ザザシティFUSEのFUSEで開催する無料セミナーにお申し込みください。
セミナー概要
日時: 2023年1月21日土曜日 13時15分~16時45分
会場: 浜松市FUSE マルチスペース 浜松市中区鍛冶町100-1 ザザシティ浜松中央館B1F FUSE
イベント内容:
- データを活用する理由
- オープンデータの探し方・使い方
- データを活用する際の考え方
- データを観察する方法
- 課題を深堀する
上記の内容を解説させていただきながら、参加者のみなさまには、実際の課題をデータを使って考察していただきます。オープンデータはウェブサイトで提供されるので、PCをお持ちください。
参加費: 無料
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