京都のDXコンサルティング会社: 長目のブログです。今回は、DXとは何かを本質的に考えます。
「DXはデジタル技術を活用することというのは、なんとなく伝わってくるが、具体的に何をすれば良いのかわからない」
というような意見もよく聞きます。
多くの企業で、DXが何かよくわからないため「ツールを導入してみたが誰も使わずに終わった」というようなことも起こっています。
今回は長目が考える「DXとは何か?」そして「どう取り組めばよいか?」をとりあげます。
まずは、よくありそうな会議などでDXに触れる1コマをみてみましょう。
最近よく聞く、デジタル活用・DX

2022年夏、某社の戦略会議での一コマ。
Aさん「最近は、経済誌でもアフターコロナはデジタル活用!なんて取り上げてますね」
Bさん「でもデジタル活用なんて、何をしたら良いんでしょうね?」
Aさん「そういえば、DXって言葉もよく聞きますね!」
Bさん「デジタルトランスフォーメーション(DX)ってやつですね!言葉は聞いたことがあります。でも実際何するんでしょう?」
Aさん「私もあまりわかりませんが、経済産業省がいくつかDXに関するレポートを出しているようなので、調べてみます!」
調べてみてもよく分からない・・・

数分後・・
Aさん「2018年に出されたDXレポートではこのように定義されていました。」
引用1
<参考:DX の定義> DX に関しては多くの論文や報告書等でも解説されているが、中でも、IT 専門調査会社の IDC Japan 株式会社は、DX を次のように定義している。
※1 企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソ ーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
Bさん「どういうことか分かりませんね・・・」
Aさん「2020年に出されたDXレポート2(中間取りまとめ)には次のようにありますよ。」
引用2
DX の本質とは、単にレガシーなシステムを刷新する、高度化するといったことにとどまるのではなく、事業環境の変化に迅速に適応する能力を身につけること、そしてその中で企業文化(固定観念)を変革(レガシー企業文化からの脱却)することにあると考えられる。当然ながらこうした変革は誰かに任せて達成できるものではなく、経営トップが自ら変革を主導することが必要である。
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf
Aさん「同じレポートに、次のようなことも書いてあります」
引用3
デジタル社会においては、価値創出の源泉がフィジカル(現実)空間からサイバー空間へ と移行する。その空間の中で様々な企業や組織が連携し、社会課題の解決や新たな価値、体験の提供が迅速になされ、安心・安全な社会が実現する。またデジタルを活用してグローバルで活躍する競争力の高い企業や、カーボンニュートラルをはじめとした世界の持続的発展に貢献する産業が生まれる社会となる。
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-2.pdf
Bさん「・・・・・・」
Aさん「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインには経営のあり方、仕組みがこのように書かれています。」
リスト1 DX推進のための経営のあり方、仕組み
- 経営戦略・ビジョンの提示
- 経営トップのコミットメント
- DX推進のための体制整備
- 投資等の意思決定のあり方
- DXにより実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力
Bさん「わからない。全然わからない・・・・」
長目の解説

上のように、DXについて調べたがよく分からなかったというご意見はよく聞きます。
そこで長目の見方を、解説させていただきます。
まずは先入観なしでリスト1をみてみましょう
最初に、リスト1「DX推進のための経営のあり方、仕組み」をDXとかデジタル化とか考えずにご覧になってみてください。
イメージしやすいために、DXとか絡んだ言葉をリスト1から除いた、リスト2を作ります。
リスト2 経営のあり方、仕組み
- 経営戦略・ビジョンの提示
- 経営トップのコミットメント
- 推進のための体制整備
- 投資等の意思決定のあり方
- 実現すべきもの:スピーディーな変化への対応力
いかがですか?
こうしてみると、普通に仕事であたらなことに取り組む際に必要なものに見えます。
そうです。ここではあらたなことに取り組むために仕組みを準備しようと述べています。
DXに取り組むべき理由とは?

DXに取り組むべき理由は、何でしょう?
ここでも分かりやすいように、引用3から理由を抜き出し、引用4とします。
引用4
デジタル社会においては、価値創出の源泉がフィジカル(現実)空間からサイバー空間へ と移行する
というわけで、ビジネスであらたなことに取り組まないといけない理由は、「デジタル空間の市場が拡大し続けているから」です。
総務省が発行する令和3年版情報通信白書によると、日本の事業者・消費者間取引(BtoC)の電子商取引額の市場規模は、1998年の650億円から2918年には19兆3,609億円まで拡大しています。
2020年の値は小幅な減少だったようですが、市場はまだ拡大することが予想されます。
このような事例から、企業は何らかの形でデジタル空間での取引を増やすべきといえます。

企業は何に取り組むべきか?
最後に、企業は何に取り組むべきか?ですが、これは引用1(引用5とします)、引用2(引用6とします)から抜き出します。
引用をまとめると、「経営トップが主導し、新たなビジネスモデルを作る」ということです。そのビジネスモデルは、ネットとリアルの両面で競争上の優位を確立できるものです。
引用5
新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
引用6
企業文化(固定観念)を変革(レガシー企業文化からの脱却)することにある(中略)こうした変革は誰かに任せて達成できるものではなく、経営トップが自ら変革を主導する
企業がDXを行う理由、とるべき行動

まとめると長目が考える、企業がDXを行う理由ととるべき行動は次のようになります。
「デジタル空間市場は拡大している。今後も市場の拡大は継続するはずなので、企業はそのための新たなビジネスモデルの作成に取り組むべき」
ということで、AさんBさん、DXについてご理解いただけましたでしょうか?
Aさん 「はい。デジタル空間市場が拡大しているため、それに合わせたビジネスモデルを作らないといけないことはわかりました。」
Bさん 「しかし、ツールを使おうとか、そういうやつはどういうことですか?」
デジタルツールの導入
DXの文脈でよく聞かれるのは、デジタルツールの導入です。
デジタルツールの導入は実は、DXの前段階で行われているべきことです。
しかし、日本ではデジタルツールの導入が遅れているために、DXを2ステップに分けて解説する事例が多いです。
第1のステップをデジタイゼーションと呼び、アナログからデジタルツールへの移行。第2のステップをデジタライゼーションと呼び、デジタルを活用したビジネス展開を行います。
DXまとめ
DX、いかがでしょうか?
ちょっとややこしいなという印象でしょうか?でも、自分の行動を振り返ってみると、案外スマホからなんでもやってたりしませんか?そんな感じで、徐々にデジタル化が進んでいます。
一方で、何も行われていない会社だと、案外デジタルツールの導入だけでも効果が出るので、費用対効果が高い部分です。
DXについてまとめると次のようになります。
- DXは拡大するデジタル空間を活用したビジネスモデルを作ること
- デジタルツールの導入はDXの前段階だが、日本企業では導入が少ないのでDXの第1段階として扱われる
- デジタルツールの導入が遅れている日本企業では、その導入だけでも生産性が上がることが多い